SSブログ

JS.png 【クリエーターズスタンプ】大人が使えるスタンプはこちら≫

HM.png 【クリエーターズスタンプ】面白オヤジのスタンプはこちら≫

秒速5センチメートル感想、大人が観るアニメ [アニメ]

スポンサーリンク




5cm.jpg

「ねぇ…、秒速5センチなんだって。」

「えっ、何?」

「桜の花の落ちるスピード…秒速5センチメートル。」



冒頭こんなセリフから始まり、満開の桜並木の中を
走り抜けていく小学生ふたりの影。

やがて線路を挟んだ2人、「来年も桜、一緒に見れるといいね」。


45歳を過ぎたおじさん(自分)には、見ているのが少々気恥ずかしく感じる、
そんなかわいいアニメというのが第一印象だった。




2007年公開の新海誠監督作品、連続短編アニメ「秒速5センチメートル」。

この作品は、1話「桜花抄」2話「コスモナウト」3話「秒速5センチメートル」の
3部構成で、全編でも60分ほどの短編アニメーションだ。




1話「桜花抄」

互いに特別な想い寄せていた遠野貴樹と篠原明里。
そんな2人だが、小学校の卒業と同時に明里が栃木へ転校になった。
東京と栃木、小学生の2人にはどうしようもなく、時だけが過ぎていった。

半年が過ぎた中1の夏に明里から手紙が届き、2人は文通で再び交流を深める。
しかし2年生になる前に今度は貴樹が鹿児島に転校になる。

これ以上離れるとどうしようもない。
ある日、大雪のおそれの中、ついに貴樹は明里に会いに行く......。



2話「コスモナウト」

中学2年に東京から転校してきた貴樹に恋をしていた澄田花苗。
その想いは、貴樹に告白することもなく仲がいい友達のまま時は経ち、高校3年になっていた。

この頃は、趣味のサーフィンも上手く行かず、進路も決められない歯がゆい気持ちでいた。
そんなある日、貴樹が東京の大学へ進路を決めたことを知った花苗は、
再びサーフィンで立つことができれば、告白することを決める。



3話「秒速5センチメートル」

時は過ぎ、東京で働いていた貴樹は、必死でもがいていた。
3年間つき合っていた水野理紗ともうまくいっていない。

この状況から抜けだしたい。しかし、もがけばもがくほど深みにはまっていき
やがて疲れきった貴樹は、仕事を辞めてしまう。

今も小学生のあの時の想い、明里への想いから抜けだせないでいた。

やがて、吸い寄せられるように、また、淡い期待感を抱きながら
想い出が詰まった、あの懐かしい東京の町に足を運んでいた…。




以上が全3章のあらすじ。





私はこのアニメが大好きだ。だから評価は高い。★4つ。

5cm2.jpg


なんといってもその情景描写。
綿密にロケハンされたであろう街の風景画を惜しげもなくポンポンと切り替わっていく様は、
主人公たちの生活スタイルがよくわかり、また存在がリアルに伝わってくる。

そしてとにかく画が素晴らしい。

アニメを見る上で、きれいな画を見るのも醍醐味のひとつ。

キャラクターは好みの分かれるところかな(笑)



しかし、肝心のストーリーはと言うと決して面白いとはいえない。
ドラマチックな展開も用意されているわけでもない。
淡々とした時間の流れと平凡な男女の日常を描いただけの作品だから。


こういったドラマは見る側を選ぶので万人受けしないだろう。


それを承知で言うが、あらすじと私の感想を見て
興味をもったなら、一度見て欲しい作品だ。

感想といっても、ネタバレにならないよう、具体的な内容は極力控えている。
まぁ、ここに辿り着く前に、色々と検索しているだろうからネタバレしているだろうけど(笑)



そしてもうひとつ付け加えて言えば、40歳以上の方にオススメしたい。


若かった、青かった、当時のなんとも言えない
歯がゆい思いをした日々が鮮明に蘇ってくる…。


そしてそんな若かかりし日々が、ずっと続くように思っていたあの頃、
気がつくとそれは、いつしか遠い日の思い出に変わっていることを痛感する。

5cm3.jpg


このアニメは、ストーリーを追うというよりは、
自分の想い出を主人公の物語に重ねあわせ、ノスタルジックな世界に浸る・・・
そんなアニメかもしれない。

だから若い世代の人が見ると、単にウジウジした男の話…に映るのかもしれない。

現に周りの若い子の見た感想はイマイチの人が多く、主人公に感情移入できないようだ。
年齢的にも近いはずだから、もっとリアルに感じるのかと思ったら逆だった。

どうやら彼、彼女たちはもっとドラマチックな展開を期待していたようだ。
リアルな日常的な青春ドラマは、自分自身が現在進行中だからアニメで見るまでもないということなのか。

だからこの映画の見どころになるエンディングを評価しない人が多い。

私は、最高のエンディングだと思っているが。

5cm4.jpg

全体の流れとして、1章では、主人公たちの心の動きとして
シンクロしていた2人だが、少しずつだがズレが生じ始める。

小学生(子ども)から中学生へ、成長する(心の)スピードの違いがでてくるのだろう。

2章での高校生の主人公たち。
大人への成長過程がハッキリ分かれ出す時期に、
典型的な心のジレンマに陥る主人公。
この辺りの描き方は、少しかったるいが、等身大の恋愛ってこんなもんだと共感できる。

5cm5.jpg

そしてそんな思いを引きずったままの3章。
大人になった主人公だが、もはや生活自体が迷走している。

たぶん、「もしかして…」という淡い期待感が想い出の世界から抜け出せず、
現実の社会生活にまで支障をきたしている。

そしてようやくほんとうの意味での心の成長が始まり、ようやく前へ進み始める・・・と言った感じだろうか。

5cm6.jpg


3章を通して見終わった時、「秒速5センチメートル」という

一見風変わりなこのタイトルに、
この作品のテーマ、思いが込められた絶妙なタイトルだということに気づく。


秒速5センチと聴いて何を思うか?!


「花びらの落ちる速度ってもっと早くない?」
「いやぁ、そんなもんでしょ」
「まっすぐ落ちないからもっと時間かかるんじゃない?」


感じ方は人それぞれだ。

そう、人によってそれぞれ違うスピード、
大人への成長過程のスピードをテーマにした作品だと思う。

そして人間模様を上手く織りなす要素として用意されているのが
物理的な距離感と心の距離感。


第三者からすれば、同じスピードや近い距離なのに
彼、彼女たち当人には、どうしようもなく遠い距離だったり、

はたまた、同じ歩数で歩んでいるのにやがて
気づけば遠くはなれてしまっていたり・・・。

そして、全体を通して重要なモチーフとなるのがケータイだ。
心の距離感をみごとに演出している。


人によってスピード感や距離感が全く違うそれぞれの単位

「秒速5センチメートル」。


そんな誰もが感じた、互いの歩むスピード感や心の距離感を
この作品に触れ、思い出して欲しい。


エンディングにかかる、山崎まさよしの「「One more time, One more chance」がまたいい。

新海監督が、世界観がまさしくピッタリだと選んだだけに
エンディングはプロモーション化してるが、でも歌詞がストーリーを全て言い表している。

この曲がかかると、自分の想い出も走馬灯のように溢れ出てくる。

5cm7.jpg


「秒速5センチメートル」。

決して面白い作品ではないが、
時々、思い出すように見たくなる作品だ。






スポンサーリンク



nice!(0) 
共通テーマ:アニメ

nice! 0



                    ■ Wipeoutな日々

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。